デジタル信号においては録音量キャパオーバーすると、クリップノイズが発生したり音割れが続き全く使えなくなるのはよく知られています。
反対に、アナログの磁気テープは、録音する音量が大きくなれば、過大な入力を抑えようと音が歪んで均一化するような現象が起こるんですね。
入力があまりにも大きいとたた歪むだけですが、わざと少しだけ過大な入力で録音することでコンプレッサーやリミッターなどに似たサウンド効果が得られ、これがテープコンプの名前の由来と言われています。
しかし、DTMにおける役割や実際にテープコンプを使用するにはどういった方法があるのでしょうか?早速、解説していきたいと思います。
テープコンプはDTMにおいてどんな役割で使うの?
DTMとは言わずと知れた(デスクトップミュージック)の略でPCを用いて音楽制作することを指します。
低ノイズで音も綺麗に録音できるDTMですが、デジタルミュージック特有の音になってしまい個性が統一されてしまいがちなのが難点。
そこで、
・高周波の減退によるアナログ感
・テープ録音の自然な飽和感(サチュレーション)
・真空管やプリアンプなどで得られるノイズ感
などテープ特有の音の質感をデジタルミュージックに足してあげる役割でテープコンプが使用されます。
「じゃあ、最上位機種のオープンリールマシンを使おう!」という声も少なくありませんが、状態が良いものは個体数が少ない上に高額でなかなか手が届きません。
「え、じゃあ現在はテープコンプをどうやってかけるの?」と考えるあなた、ご安心を!
DTMではPCの中でオープンリールを仮想するプラグイン「テープエミュレーター」や、簡易的なアナログのカセットMTRを用いた代替え案が主流とされています。
テープコンプはエミュレートするプラグイン派
テープエミュレーターやシュミレーターなどのプラグインは、実際にオープンリールテープの機械をモデリングした音を仮想して使うことができる優れもの。
手間いらずで、機械の個体(色んなメーカーから発売されているので)、テープスピード、高品位のソフトなら細かなサチュレーションもいじれたりと現実世界では難しいことも難なくこなします。
オープンリールテープは専門技師がいるほど取り扱いの奥が深く、テープ代もバカにならないのでコスト面や便利さに特化しているのがウリです。
デメリットはあくまでシミュレータなので劇中劇のように、全てパソコン内の出来事だということ。いくら温かみを求めても「デジタルの中のアナログ感」で本機には到底及ばないと考える人もいるようです。
テープコンプはアナログで狙うカセットMTR派
カセットMTRとは(カセット・マルチトラック・レコーダー)の略で、複数のトラック録音ができる機器です。
オープンリール録音とはテープ速度やテープ幅に差があるため、精度は落ちますが、「テープが持つ音の丸みやテープコンプを得るレベルでは支障がない!」とエフェクト代わりに利用するのは珍しくありません。
DTMで録音した素材を、テープMTRで録音し、もう一度PC内に送ることでアナログカセット特有の質感を取り入れるといった流れが一般的な使い方。
テープコンプの他にも、カセットMTRに付属しているピッチコントロールやノイズリダクションなどを用いると色んなサウンド効果が楽しめます。
デメリットとして、録音するカセットテープを買い換えるとランニングコストがかかったり、保存状態の良いカセットMTRが減少して価格が以前に比べて高騰化していることが考えられます。
まとめ
DTMにおいてテープコンプでエミュレータープラグインを使うか?カセットMTRを使うか?はなかなか判断が難しいところかも知れません。ただ、テープエミュレーターはFREEソフトも山のようにあり、今すぐダウンロードすれば試すことも可能。
まずは、プラグインでテープコンプの旨みを体験して、満足できないようならカセットMTRを移行するといった方法がオススメですよ!