「グリッサンド」と「スライド」はどちらも弦を押さえた状態で指を滑らせ音程を変えていくテクニックです。
ギターやベースの初心者でも比較的すぐに覚えられ、なおかつかっこいいテクニックの一つですね。まだ上手く弾けない段階でもギュイーンと鳴らすだけでかっこよくて楽しくなります。
しかし、どちらもパっと見はよく似ており、特に初心者にはその違いがいまいちわかりにくい似たテクニックでもあります。
グリッサンドとスライドってどう違うの?という初心者に向けて、似ているようで違う2つのテクニックの差を紹介します。
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グリッサンドとスライドの違いを聞き比べよう
まずはギターのグリッサンドとスライドを聞き比べてみましょう。こちらの動画では1分10秒のあたりから「スライド」と「グリッサンド」を交互に弾いています。
いかがでしょう?なんとなく違いがわかっていただけたのではないでしょうか。
スライドは始まりと終わりの音がしっかりと聞き取れるのに対し、グリッサンドは始まりが曖昧だったかと思います。
ハキハキ喋るのがスライドで、話し始めが聞き取りにくいのがグリッサンドというイメージです。このイメージの差が、グリッサンドとスライドの大きな違いです。
グリッサンドとスライドは弾く範囲が違う
聞き比べるとなんとなく違いがわかるグリッサンドとスライドですが、演奏方法としてはどう違うのでしょうか。一言で言うなら「弾く範囲」が異なります。
- グリッサンド:スタートかゴールもしくは両方の指定がない=弾く範囲が自由
- スライド:スタートとゴールが決まっている=弾く範囲が決まっている
TAB譜で見るとわかりやすいのですが、グリッサンドは「g」で表され5フレットのみ記載されています。つまりこのTAB譜では、出発点か終着点どちらかしか指定がありません。
対してスライドは「s」で表され、5フレットと9フレットにスラーが伸びています。この場合5フレットから9フレットまで指を滑らせます。前述したように出発点と終着点が明確に定められていますね。
このようによく似ていますが、始まりや終わりが曖昧なグリッサンドと、始まりも終わりも明確なスライドでは音の印象が大きく異なります。
グリッサンドとスライドのコツ
自由に指を滑らせるのがグリッサンドで、決まった点と点を結ぶように指を滑らせるスライド。どちらも音と音を滑らかに繋げることができます。
ともに弦を押さえながら指を滑らせますが、それぞれ微妙にコツが異なります。
グリッサンドのコツは勢いよく
グリッサンドのコツは勢いよく指を滑らせることです。
自由に指を滑らせる…と言われても、初心者からすると「自由っていったいなんだぁい?」と尾崎豊ばりに叫びたくなることでしょう。
どのくらい滑らせるべきか加減がわからず控えめにしがちですが、始まりや終わりが曖昧なため控えめに滑らせると音がぼんやりとして締まりません。
また指の力が弱まって、音が途切れる場合もあるため力強く行うことが大切です。
次の運指に支障がでない範囲で、俺が主役だと言わんばかりに勢いよく大胆に指を滑らせましょう。
スライドのコツはキッチリ止める
スライドのコツは目標の音でキッチリと止まることです。
スライドは目標地点が決まっているため、勢い余って通り過ぎてしまうと余分な音が入ってしまい不格好です。目標地点でピタリと止めることが大切です。
フレットからフレットまで電車で移動するようなイメージで、行き過ぎたり手前で止まったりしないよう気を付けてください。
最後までしっかりと指に力を込めて、目標のフレットでキッチリと止めるようにしましょう。
慣れないうちは手元をよく見て、決まったフレットでピタッと止める練習を繰り返すと体が覚えます。
グリッサンドとスライドの違いを理解して使いこなそう
同じ指を滑らせる奏法でもグリッサンドは勢いよく、スライドはキッチリと弾くことでニュアンスに差が生まれます。
最近の曲ではKing GnuのPrayer Xやポルカドットスティングレイの「テレキャスター・ストライプ」などのイントロでグリッサンドやスライドが使われています。
この2つの違いを理解して使い分けることができれば、一段とかっこよくプレイできるでしょう。