ネット上で市販されているアカペラ用の楽譜は、バンド用の楽譜などと比べると数が多くありません。そのため、歌いたい曲があっても、その楽譜に巡り合えないこともしばしばです。
そんな時は自分で楽譜を作りましょう。自分で楽譜を作れるようになれば、探す必要も買う必要もありません。この記事を参考に、アレンジャーとしての第一歩を踏み出してください!
アレンジを始める前に
メンバー構成
アカペラは、人の声を使って奏でる音楽です。なので、楽譜を作り始める前に、どんなメンバー構成で歌うのかを決める必要があります。
アカペラのパートには、「リードボーカル」、「コーラス」、「ベース」、「ボイスパーカッション」の4種類があります。その中でも特に気にしたいのが、
・コーラスは男性と女性、それぞれ何人なのか?
という点です。
男性と女性では歌える音域が違うので、それぞれ何名ずつで構成するのかはとても重要なポイントとなります。
楽譜作成ソフト
楽譜を作るのに不可欠なのが、楽譜作成ソフトです。手書きでも作れますが、ソフトを使った方が圧倒的に速く、綺麗な楽譜を作ることができます。また、それだけでなく、作成した楽譜をPDFとして保存ができたり、midiファイルとしても出力できるので、パートごとの音源も作れます。
楽譜作成ソフトにも色々な種類があります。
・Singer Song Writer
・Finale
などがアカペラ界隈ではメジャーですが、これらはどちらも有料ソフトとなります。もちろん、有料ソフトなので機能は抜群に良いものが揃っています。しかし、お金を出して買っても、使いこなせないと意味がありません。まずは無料のものを使ってみて、機能に物足りなさを感じたら、有料のものを使えば良いと思います。
無料ソフトでオススメなのが、
・Musescore
です。このソフトは、値段こそ無料ですが、機能は有料並のものが揃っています。初めはこれを使っておけば間違い無いでしょう。
原曲の音源と楽譜
アレンジをする際には、原曲を何回も繰り返して聴きます。ほとんどの曲は、YouTubeなどの動画サイトなどにあるはずですので、確認しておきましょう。
また、アレンジする曲のバンドスコア、またはピアノ譜なども必要です。バンドスコアやピアノ譜には、コードが載っています。このコードを構成する音が、コーラスやベースが歌う音になります。
「アレンジする曲名+コード」で検索すれば、コードだけは見つかるはずです。しかし、この方法だとリードボーカルの音がわかりません。自分で聞き取って、鍵盤を鳴らして、音を確認しながら楽譜に起こすのは初心者のうちは難しいでしょう。なので、最初のうちは、リードボーカルの音は購入したバンドスコアやピアノ譜を参考にすることをオススメします。
アレンジの進め方
リードを打ち込む
ここから、ソフトを使って実際に楽譜を作っていきます。
まずは、事前に用意したバンドスコアやピアノ譜を参考に、リードボーカルの音を打ち込みましょう。この作業をすることで、ソフトの使い方にも慣れていくはずです。
ベースを打ち込む
リードボーカルの音が打ち込めたら、次はベースの音です。バンドスコアやピアノ譜には、小節ごとに「C」や「Dm」のようにアルファベットが記載されています。これらをコードといい、その小節で使われている音を表しています。
「コード+C」などのように検索すると、そのコードを構成している音を検索できます。Cであればド・ミ・ソ、Dmであれば、レ・ファ・ラ、です。そして、ベースはこの構成音の中のルート音を担当します。Cであればド、Dmであればレ、です。
コーラスを打ち込む
コーラスは、コードの構成音を担当します。ベースもコードのルート音を歌うので、ベースと同じ音を担当するコーラスの人は、ベースのオクターブ上を割り振るようにしましょう。
コーラスの音域に合うように調整する
上記の手順で全てのパートを打ち込み終わったら、最後に各コーラスの音の流れを調整します。これは、コーラスの人の音域を確認して、歌える、または歌いやすい音域の音を担当するように音の積みを修正しましょう。
また、極端な例ですが、歌える音だからといって、ドを歌った後にオクターブ上のドを歌わせるような、音の飛びにも注意してください。音の移動範囲は、上下2〜3音くらいがちょうど良いと思います。
1ステップ上のアレンジにするためのコツ
原曲を何回も聴く
原曲を繰り返し聴くことは、アレンジをするのにとても重要です。ただ何回も聴き流すのではなく、何回か聴いた後に、リズムを意識して聴いたり、ベースの動きを意識して聴いたり、と目的を持つことがポイントです。ベースやドラムの格好いい動きを取り入れると、アカペラで歌った時も格好良く聴こえるでしょう。
アレンジの引き出しを増やす
海外には、たくさんのプロアカペラグループが存在します。YouTubeなどで検索すれば、アマチュアアカペラグループの動画も山ほど見つかるでしょう。プロアマ問わず、色々な演奏を聴いて、どこでどんなアレンジにしているのか聴き比べてみましょう。また、プログループの楽譜を購入して分析してみたり、実際に歌ってみると、更に新たな発見があるはずです。
まとめ
今回は、アカペラのアレンジについて解説しました。手順も簡単なので、アレンジを始めるのにハードルはそれほど高くないはずです。アレンジができるようになると、自分の歌いたい曲を、好きなメンバーで歌えるようになります。是非アレンジができるようになって、より良いアカペラライフをお過ごしください!