地声と裏声をうまく融合させたミックスボイスを習得すれば、幅広い音域の曲でも響きある声で歌いこなせるようになります。
ミックスボイスの基本的なトレーニングを重ねながら、実践編として既存曲で練習すると、さらに歌唱力が本物になっていくはずですよ。
特に最近は、ミックスボイスで歌唱する男性ボーカリストが増えており、男性曲のキーが上がっています。
そこで今回は、男性におすすめなミックスボイスの練習曲をご紹介します。
Pretender/Official髭男dism
PretenderはOfficial髭男dismのナンバーの中でも代表曲で、カラオケでもかなり人気のある1曲です。
ボーカルの藤原聡さんの声はハスキーながらも抜けがある伸びやかな声で、特に息のコントロール力が優れています。
もちろん、ミックスボイスでも歌い上げられており、Pretenderはミックスボイスとファルセットが鍛えられる練習曲だと言えるでしょう。
腹式呼吸で息のコントロールをする
AメロとBメロは音程の変化が多いメロディアスなラインが多く、喉の開閉が難しいかもしれません。
喉の開閉を意識してしまうと上半身に力が入りやすくなるので、呼吸は胸式ではなく、腹式を定着させるべき。
PretenderのAメロとBメロがなかなか歌いこなせない人は、ミックスボイスにこだわる前に、まずは腹式呼吸やロングブレストレーニングを見直しましょう。
この曲は腹式呼吸やロングブレスのトレーニングの成果を知るためにも、役立ちます。
時々出てくるファルセットの発声は、上半身をリラックスして多くの息を使わなければ響かせられないので、特に腹式呼吸が大事になってきます。
中~高音域はミックスボイスで歌い上げる
Pretenderの中でミックスボイスがよく使われているのは、中~高音域で歌い上げるサビ部分です。
サビのメロディーラインも結構動きがあるのと、ロングトーンも登場するので、ミックスボイスの感覚をつかみ切っていなければ歌い上げるのが難しいはずです。
たとえ、ミックスボイスのトレーニングが完璧であったとしても、練習曲で実践してみると歌えないケースもあります。
もしも、Pretenderのサビが歌えない場合は、まずはアカペラのファルセットでゆったりしたペースにて歌い上げる練習を積み重ねましょう。
ファルセットで歌えるようになってきたら、地声の要素を混ぜてミックスボイスに近づけていくと、中~高音域の変換点も目立ちにくくなり、スムーズな流れで歌えるようになるはずです。
口笛/Mr.children
Mr.childrenの口笛は、ミドルテンポのポップなラブソングで、聞いている限りでは簡単に歌えそうですが、Bメロからサビにかけての発声が特に難しいです。
Bメロの難関クリアのためにAメロは静かに歌う
Bメロからサビにかけて高音が多くなるので、声の響きをスムーズに響かせるためにも、Aメロ部分で地声を張り上げすぎないようにするのがポイントです。
1コーラス目で言うと、Bメロの「途切れなーいようにー」がミックスボイスの一つ目の難関です。
「なー」の音は、楽器のチューニングでも標準音として使われているhiA(真ん中のラ)になり、男性の音域では高い音になります。
サビはアカペラで丁寧に歌うと上達しやすい
さらに、サビでは高い音と中間音くらいを行き来するメロディーラインになっているので、ミックスボイスでなければ歌いこなせません。
ミックスボイスでサビを歌うのが難しい場合は、カラオケの伴奏を外してアカペラで、一音ずつ発声して確かめながら練習しましょう。
鱗/秦基博
秦基博さんの鱗(うろこ)は、2007年にリリースされた古めのナンバーになります。
秦基博さんの声には、いくつかの色があり、普通の地声やチェストボイス、高音域ではファルセットも存在します。
ミックスボイスを使っているのは中高音域が多く、地声の響きからスムーズに繋がっているのが特徴です。
Aメロの第一難関は発音で乗り切る
Aメロの最初の方に、急に音程が上がる箇所があり、ミックスボイスとしては、第一の難解といえます。
1コーラス目では「かきあげーた」の「げー」、2コーラス目では「気付いたらー」の「らー」の音です。
特に1コーラス目の「げー」はえ行の発音で、喉が開きにくい傾向にあります。
そのため、うまく発声できない人は「あ」に近い発音の「え」の口の形を心がけると、なんとか開いてミックスボイスで歌いやすくなります。
ラストサビのトップはファルセットからはじめよう
全てのサビのトップから高い音が配置されているので、Bメロからサビに移る時の喉の変換が難しいはずです。
特にラストのサビの出だしは、男性の音域の中でも高いhiB(真ん中のシ)なので、ミックスボイスで発声できない場合は、声量を下げてファルセット(裏声)でチャレンジしてみましょう。
ファルセットから地声に近づけるられるように徐々に努力していくと、ミックスボイスで歌いこなせるようになります。
ロビンソン/スピッツ
スピッツのロビンソンは、カラオケでもよく歌われている大ヒット曲ですね。
聴いている限りでは簡単に歌えそうですが、全体的に音程が高いので、実は難しいのです。
Aメロは囁きかけるようなミックスボイスで歌う
Aメロは息の量が多いウィスパーボイスな響きのミックスボイスで、どちらかと言うとファルセットに近い声質で歌われています。
地声を張って歌うロック系の歌が得意な男性は、この手の歌唱が難しいからこそ、ミックスボイスの訓練に最適です。
また、ロック系の曲の中でもAメロが静かな曲があるので、表現力にも幅がついていろんなタイプの曲が歌えるようになります。
サビは高音とロングトーンの連続
サビは、女性でもこのままのキーで歌えてしまうほど全体的に音域が高い上に、ロングトーンが多いので、息の量のコントロール力も身につきます。
また喉がしっかり開いていない状態で歌うと、息の量がコントロールできていたとしても、うるさい声になってしまう恐れがあるので、喉を開いて歌う訓練にもなります。
完全感覚Dreamer/ONE OK ROCK
ONEOKROCKの完全感覚Dreamerは、ワンオクの中でも定番の人気曲。
聴いた通り、シャウトに近いようなミックスボイスが特徴的でロックな楽曲にぴったりです。
ソウルフルにも響いてくる声は、持って生まれたものでもありますが、ミックスボイスを身につければ、近い声で歌えるようになるはずです。
Aメロ部分の英詞を正しく発音すること
Aメ部分は全て英詞なので、英語を正しく発音していたならば、喉を開きやすいはずです。
日本語は口先だけでも発音できる言語が多いのですが、英語は喉を開閉しなければ発音できない言語もあるので、発声にとってはメリットある発音です。
洋楽のシンガーの音域が広いのは、普段からの言語の発音の違いも影響しています。
しかし最近では、日本においても英語が入った曲が多くなっているため、歌う時の日本人の発音も洋楽のシンガーに近づいてきています。
ミックスボイスを完全に身につけるためにも英詞が役立つので、この曲に関しては声が出る出ないの前に、Aメロ部分の英詞を正しく発音する努力をするべきでしょう。
まずはしっかりとヒアリングをして響きを耳でつかんでから、発音記号も調べた上で、正しい発音を心がけましょう。
ミックスボイスだけではなくヘッドボイスも身につけよう
ミックスボイスは眉間辺りに声を響かせるイメージ、ヘッドボイスは頭の方に声を響かせるイメージで声を出します。
完全感覚Dreamerは、女性でも高いと感じるほど高音域が多く音域の幅も広い曲なので、ミックスボイスだけでは歌いこなせません。
高音域になるほどに体の高い位置に声を響かせなければ、声帯が閉まってスムーズに声が出ないので、頭の方に響かせるヘッドボイスも積極的に取り入れていくことです。
ミックスボイスのトレーニングの成果を練習曲で確かめよう
ミックスボイスで歌い上げられている曲を実際に歌ってみることで、日々のトレーニングの成果がわかります。
たとえ歌えなかったとしても、なぜ歌えないのかを追求し、トレーニングの内容を見直したり、さらにトレーニングを積み重ねたりなどで、上達へと向けていきましょう。